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第二回 「お墓革命の時代 その1」・・(平成18年4月1日)

様々なメディアで取り上げられていることですが、家族構成の変化や少子高齢化の時代を迎え、世の中は様々な変化が起きています。

 お墓についても同じように変化の時代を迎えています。
 これまでお墓とは、故人に対して遺族が造りそして守っていくという考え方が一般的でした。ところが、核家族や一人家族の増加に伴って先祖代々のお墓を守っていく人がいないというご家庭が増えてきています。
 また、故郷に両親を残して、就職のために子供たちが全て実家を離れてしまったというご家庭は、高度成長期以降、ごく普通に見られるようになりました。そして彼らの世代が間もなく退職を迎えるわけですが、引退後に故郷に戻る方は、どうやら多くはなさそうです。そのため、故郷に残された先祖代々のお墓をまもる人が居なくなってきています。
 そして「家」に対する考え方の変化も加わって、これまでとは違ったスタイルのお墓が増えてきています。

 上記のような社会の変化と共に、業界内の変化も起きています。
中国を中心とした、海外製品の輸入が増加し、新たな業者の参入もあって、競争激化しています。これらの動きは、1990年代に入ってから活発になってきました。

 こうした変化の中で、再び注目を集めるようになったお墓や、新しいスタイルのお墓が生まれてきています。今回は、そのうちのいくつかをご紹介したいと思います。
~~その1.両家墓~~

 両家墓、つまり、夫側のお墓と妻側のお墓を一緒にしたお墓のことです。両家墓というスタイル自体は昔からありましたが、1990年代以降、様々なメディアで取り上げられるようになってきたお墓のスタイルです。

 団塊の世代以降、核家族化が進み、今や特殊出生率(一人の女性が生涯において出産する子供の数)は2004年で1.29となりました。
当然、女性の一人っ子、あるいは兄弟姉妹が女性のみという方も、戦前に較べると、大幅に増加しています。奥様の実家がこうした家族環境のご家庭であった場合、従来のお墓のスタイルでは、実のご両親のお墓が無縁墓となってしまいます。この事態を未然に防ぐための対策のひとつとして、最近注目を集めているのが、この両家墓というスタイルなのです。

 両家墓を建立される場合、次のような問題点が考えられます。

1.両家の宗教や宗派が違う
2.自分の子供の世代
3.墓碑などのデザイン

 まず1についてですが、埋葬場所が寺院墓地や、特定の宗教宗派の民営墓地である場合、ご両家宗教宗派の違いは、非常に大きな問題となります。寺院墓地の場合ですと、あたらに入壇料を請求されたり、戒名の付け直しを条件とされる場合もあるようです。
 ただ、北海道の場合、公営墓地や宗教不問の民営墓地が多いので、一般的には、あまり大きな障害とはならないと思われます。

 次に、自分の子供の世代の問題があります。自分の代で、せっかく両家墓を建てたとしても、子供の世代が女性のみであった場合、
再び同じ問題を抱えることになります。しかも、少子高齢化の現代においては、決して可能性の低い問題ではありません。
 このような将来を見据えた場合、自分の一族ではなく、血縁が入るお墓として、墓石にはあらかじめ家名を入れずに建立し、墓誌に
埋葬者のお名前を彫っていくといったスタイルも検討する必要があると思われます。

 3については、両家墓を建てたいとお考えのお客様ご本人だけではなく、このお墓に関わる皆様のご意見を、皆様でご検討されていくことが必要でしょう。
 両家のご家族が一同に会して話し合った、そんな思い出も活かされるデザイン、スタイルであることも、お墓に対する思い入れに影
響を及ぼすのかも知れません。
~~その2.改葬~~

 文字通り、お墓のお引っ越しです。

 第二次大戦後、都市部への人口の移動が顕著になりましたが、特に団塊の世代以降は、それまでは実家に残って、家業なり家督を引き継いでいた長男も、故郷を離れて都会に移住するケースが多くなりました。社会的には、地方の過疎高齢化と、都市への人口集中という問題として、様々に語られている現象ですが、お墓にとっても同様に、そして、これからますます大きな問題として考えられる必要のある現象です。

 団塊の世代の大量退職を迎える今、彼らをターゲットとした様々なビジネスが展開される中で、様々な地方自治体もまた、彼らの移住先として、おらが街をアピールする機会を多く見かけるようになりました。こうした移住者ご自身が、いずれ終の住処とされるお墓も故郷から引っ越されることも、今後増えてくるのではないか、と思われます。

 ところで、改葬される場合、ただ遺骨を持ってくればいい、というわけにはいきません。昭和の初期に、無縁墳墓改葬の手続きが定められましたが、定められた当時は、まだ「無縁墓」は特殊な例だ、という考えに基づいて定められた規則のために、遺骨にも「墓籍」があって、お引っ越しの際には、我々生きている者同様に、様々な手続きが必要となります。同様に様々な費用もかかることになります。

~~その3.個人墓や永代供養墓~~

 「現代は核家族の時代」といわれて久しいのですが、実体は変わりつつあるようです。現在、世帯の家族構成数で最も多いのは、一人。つまり、一人暮らしの家庭が、日本で最も多いのです。
 単身赴任・就学・結婚率の低下と離婚率の上昇・独居老人などなど、一人暮らしの家庭の増加には、様々な要因が考えられますが、こうした家庭環境の変化は、お墓に対する考え方にも影響を与えています。

 そのひとつが、「終の住処も一人で」という考え方。お墓のスタイルでいえば、「個人墓」となります。もちろん、上記のような家庭環境の方だけではなく、ご夫婦であっても、死後は「一人で眠りたい」というお考えの女性も増えてきています。また、ご自身の死後の墓守に関して、子供の手を煩わせたくないとお考えの方もいらっしゃいます。

 個人墓の一番の問題点は、いずれ「無縁」になるということです。
無縁になる将来を見据えた、お墓造りが必要になってきます。この問題の解決策のひとつとして「永代供養墓」を挙げることができます。
 永代供養とは、ご子孫が絶えてしまった場合などに生ずる「無縁仏」を、お寺などの永代供養をおこなう経営主体に対して、あらかじめお金を支払うなどの契約をおこなって、子孫に替わって供養してもらうというシステムです。
 現在全国で約500ヶ所前後の永代供養墓が存在していますが、新しく生み出されたシステムのため、公的に定められた設置基準や運
営基準があるわけではありません。
 そこで、永代供養墓を選ぶ上でのポイントを挙げておきましょう。

・経営主体(お寺も含めて)は、安心・信用できるのか?
お寺も倒産する時代です。ご自身の終の住処として、本当に安心して身を預けられる場所であるかを見極める必要があります。

・費用や使用条件が明確に決まっているか?
永代とは何年なのか?骨壺のまま保管されるのは何年か?合祀されるのは何年後か?など。

・供養の条件は?
  春秋の彼岸やお盆の供養、あるいは個々の命日や月命日の供養に関して。

・天災の場合の補償は?
地震で倒壊した場合などは、どのような対応があるのか。

・維持費用は?
初期契約の時点で納入するお金以外にも、管理費などの経費かかかる場合もあります。

 設置基準や運営基準が定められていないということは、それだけお客様個々のご意志が反映されているとも言えるのですが、同時に、あらかじめご自身でよくお調べの上で、どの供養墓を選ぶのかをしっかり判断しなくてはなりませんね。

~~その4.デザイン墓など~~

 家墓というよりは、ご自身の記念碑として建てるというスタイルのお墓も、近年普及しつつあります。
 そこに、旧来の風習にはとらわれずに、ご自身のイメージや人生を表現したいという志向も加わって、様々なデザインのお墓が生まれています。また、墓碑銘もこれまでの形式にとらわれない、多様なスタイルも生まれています。

自筆の言葉を遺す
好きな言葉や好きな絵画などを彫る
自身の職業や趣味を形にする
子孫への思いを形に遺す

等々。

 これまでのお墓には、「父系の一族の先祖を供養する」という意義が大きな要素としてありました。これが、少子化や一人暮らしの
増加といった家族構成の変化によって、壊れ始めているのが今という時代だと思います。そんな中で、新たに生まれようとしている、
「新しいお墓のスタイル」のひとつとして、こうした様々なスタイルのお墓は注目されています。
~~その5.樹木葬などの墓石を伴わないお墓~~

 キリスト教、特にカトリック圏では土葬が一般的でしたが、1970年代頃より、火葬が普及してきます。それに併せて、墓石のないお墓が普及しつつあります。
 欧米では火葬が普及しても、その焼骨をお墓に埋葬するという形態は一般化しませんでした。その代わりに、様々な形態が考え出されます。バラ園への散布や埋蔵・壁墓地への収蔵・芝生墓地への埋蔵・池への散布等々。

 日本でもこうした墓地や埋葬方法が現れつつあります。欧米の場合は、火葬の普及が転機でしたが、日本の場合は先祖供養という、これまでのお墓の形態が、少子化などの理由で維持できないのではないか?という不安から生まれてきたのではないかと思われます。

 1999年に、岩手県一関市ののお寺が、里山の自然林を利用した「樹木葬公園墓地」をはじめたという新聞記事(朝日新聞2003年2月25日)の他、古いスタイルでは納骨堂形式、新しいものではインターネット霊園といった、これまでの慣習にとらわれない、新たな形態のお墓も生まれつつあります。

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