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2015-08

因幡のシロウサギ

古事記の中でも最も知名度の高いのは この「因幡のシロウサギ」だろう 古事記の内容をあまり詳しく知らなくても 「因幡のシロウサギ」の話は知っている人が多い
さらに、「因幡のシロウサギ」が古事記の話だと認識していない人もいる

 

それほど、日本人になじみの深い童話であるが その話を簡単に説明すると
隠岐の島から因幡(鳥取県)へ行きたいシロウサギは 海を渡る方法としてサメをだますことにした サメの群れに「数を数えてあげよう」と持ちかけ サメを一列に並べて、サメの背中の上を飛び移って向こう岸まで渡ろうとした

しかし、あと少しで岸へと到着する寸前で だましたことがバレてしまい サメに毛皮を剥がされてしまう

 

…という話である ちなみに 誤解が多いのだが

シロウサギは「白いウサギ」の意味ではなく 毛皮を剥がされて「素」になったウサギ 「素兎」の言葉が元になっている

 

この物語に登場するサメだが 違う生き物である…という説もある 古事記の中には、この生き物が「ワニ」であると書かれている

ワニというと爬虫類の口の大きなワニだと思うが

そのワニは、亜熱帯地域を中心に生息する生き物なので 日本にいたとは考えにくいので

「ワニ」は「サメ」のことを言っているのではないかと言われている

 

絵本によっては「ワニザメ」と表現しているものもある

これは古語であり

昔はサメを指してワニと呼んでいたようで 島根に近い広島県三次市などでは 現在もサメの肉を使った「ワニ料理」というのが存在していて その名残を残している
サメの肉は腐りにくいので 運送の手段が少なく時間もかかる昔は

山間部の地方では、貴重なタンパク源として重宝されていた

 

しかし、このワニをサメだと解釈するのに反対する意見もある

大分県では、小型のヨウスコウワニの化石が発掘されたこともあり 当時の日本に爬虫類のワニが生息していた可能性も否定できない また、古事記のワニを 現代でいう、サメやワニではなく

細長いウミヘビではないかとする説もある 個人的な意見だが 「神代正語常磐草」に描かれている

因幡のシロウサギの絵のワニは「ガメラ」にそっくりだと

いつも思ってしまうのである

縁結びの神といわれる出雲のオオクニヌシ

日本の最高神といえば、いわずもがなアマテラスであるが 遠い昔の出雲で最も尊いとされてきたのが 出雲建国の立役者であるオオクニヌシである

 

オオクニヌシは、このオオクニヌシという呼び名が一般的であるが 他の名前を聞いたことがある人も、多いかもしれない

 

オオクニヌシには様々な異名がある

「大穴牟遅命」(おおなむちのみこと)

「葦原色許男命」(あしはらしこおのみこと)

「八千矛神」(やちほこのかみ)

「宇都志国玉神」(うつしくにたまのかみ)

「大国玉神」(おおくにたまのかみ)

「大物主命」(おおののぬしのみこと)

合計6つの名前を持ち その数は、アマテラスを超えている

 

なぜオオクニヌシは、こんなにも別名が多いのであろうか? 別名の多い神には2つの説が考えられている

 

ひとつは、神格が高いほど異名が多くなるということ もうひとつは、様々な神話における呼び方を一つに統一したという説である しかし、神格に高さでいえば、オオクニヌシは低い方に位置する神である

それでは、どうして異名が多いのであろうか?

 

国つ神の位の高さは

後世の人間が作り上げた序列である 出雲は、神々の集う土地であり その出雲の神であるオオクニヌシは尊い存在であった

 

そのような理由から オオクニヌシにまつわる神話が古くから各地域に伝えられていたと考えられる

その中でオオクニヌシを呼ぶ名前も増えていったと考えられる

 

しかし、多くの名前が存在すると話をまとめるには不都合があることから

古事記を編集する際には その複数ある名前を統一したと考えられる 異名も多いが、その名前によっても役割もあるので その名で呼ばれることに、きちんとした意味を持たせていた

そして、オオクニヌシは妻子も多く 子供の数は108柱と言われていて このことから、現在は縁結びの神様としても祀られている

 

 

 

オオクニヌシの異名とその意味

 

異名 意味
「大穴牟遅命」(おおなむちのみこと) 不明
「葦原色許男命」(あしはらしこおのみこと) 葦原中国の醜い男の意
「八千矛神」(やちほこのかみ) 多くの矛を持つ神の意
「宇都志国玉神」(うつしくにたまのかみ) 現実の国土の神霊の意
「大国玉神」(おおくにたまのかみ) 上記と同意。人が住む土地を守る魂の意
「大物主命」(おおののぬしのみこと) 大神神社の神。地方で強く信仰されたことが共通し、次第にオオクニヌシと同一視された。

 

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