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海佐知毘古・山佐知毘古②

海神国で火遠理命(ヒオリノミコト)と結婚した豊玉毘売(トヨタマビメ)は
妊娠していて出産の時期を迎えようとしていて
夫のもとにやってきた

 

火遠理命は身ごもっている妻のために
渚に産屋を作り、屋根を鵜の羽で葺いた

しかし産屋が完成しないうちに豊玉毘売の陣痛が激しくなり
産気づいてしまう

豊玉毘売は産室に入り
お産がはじまるときに夫に言った

「異郷のものである私は、本来の姿に戻ってお産をしますので、絶対にお産の様子を見ないでください」と
この言葉が気になって、我慢できなくなった火遠理命はこっそり覗いてしまう

そこには大きなワニに変身して、身をくねらせている妻の姿があった
火遠理命は恐ろしくなって、その場から逃げ出してしまった

本当の姿を火遠理命に見られてしまった豊玉毘売は
恥ずかしさのあまり故郷の海神国へ帰ってしまった

 

火遠理命と豊玉毘売の子供は

屋根を鵜の羽で葺き終わらないうちに生まれたので
鵜葺草葺不合命(ウカヤフキアエズノミコト)と名付けられた

 

火遠理命のもとを去った豊玉毘売は
置いてきた我が子が心配になり海神国から妹の玉依毘売(タマヨリビメ)を送った

成長した鵜葺草葺不合命は叔母である玉依毘売と結ばれて

4人の子供に恵まれた
五瀬命(イツセノミコト)、稲氷命(イナヒノミコト)、御毛沼命(ミケヌノミコト)、若御毛沼命(ワカミケヌノミコト)である

 

のちに次男の稲氷命は母の住む海神国へ行き
三男の御毛沼命は海のかなたにある常世国へ渡り
日向に残ったのは長男の五瀬命と四男の若御毛沼命で
若御毛沼命は別名を神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコノミコト)といい
のちの初代天皇である神武天皇となる

なお山佐知毘古(ヤマサチビコ)こと火遠理命は580年間生き
陵墓は高千穂の山の西にあると書かれている

ここまでが古事記の上巻の神の話であり
中巻からは天皇が統治する人の代の話になっていく

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