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古事記・神代の物語3

イザナギは、妻が亡くなって悲しみにあけくれ

どうしても妻に会いたくなり

イザナミのいる、地下の黄泉の国へ向かった

黄泉の国へ行くと、入口で妻が迎えてくれた

 

「愛しい人よ、あなたと作った国は未完成のままだ。一緒に帰ろう」

と、イザナギが言うと

 

「もっと早く来てくれなかったのが残念です。私は、黄泉の国の食べ物を食べてしまったので、もう戻ることができません。でも、せっかくあなたが来てくれたのですから、私もなんとか戻りたい。黄泉の国の神と相談してみます。でも、お願いです。その間、決して私の姿を見ないでください」

イザナミは、そう言うと宮殿の内に戻っていた。

 

しかし、どんなに待っても、妻は戻ってこない

 

待ちきれなくなったイザナギは、結い上げた左の髪から神聖な櫛の端を一本折り

そこに火を灯して中に入ると

イザナミの亡骸にウジムシがたかり
頭、胸、腹、陰、両手、両足に大小八つの恐ろしい雷(いかづち)が住んでいた

イザナギは、あまりの恐ろしさに逃げ出すと

イザナミは、それに気がつき

「私に、恥をかかせましたね!」と言って

黄泉の魔女達に、後を追わせた。

 

イザナギは、なんとか魔女達から逃れることができたが

今度は、八つの雷神と千五百もの黄泉の集団が追いかけてきた

そして、それも必死で逃れると

最後には、イザナミ自身が追いかけてきた

 

困ったイザナギは、千人の力でやっと動かせるほどの大きな「千引石」を、黄泉津比良坂まで引き
入口を塞いだ

そして、イザナギとイザナミの二神は、その石を中心にして向かい合い、互いに最後の別れの言葉を告げた

 

「愛する夫よ。こんな仕打ちを受けるなら、私は、あなたの国の人を一日に千人、首を締めて殺します!」と、イザナミが言うと

イザナギは

「愛しい妻よ。それなら、私は一日に千五百の産屋を建てる」

と、言った

 

その結果、人は一日千人死に、一日千五百人が生まれた

 

そして、イザナミの命のことを名付けて「黄泉津大神」と呼ぶようになり

黄泉の坂を塞いだ石を「道反の大神(ちかえしのおおかみ)」または、「塞ります黄泉戸大神(さやりますよみとのおおかみ)」と、呼ぶようになった

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